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2、アミンという人

ばったり出会ったアミンと意気投合し、固い握手を交わした後、アミンはクタ通り周辺を約2時間に渡って丁寧に案内してくれた。

そこで彼が厳格なイスラム教徒だということを知る。
インドネシアのバリ島はバリ独自の世界観を持ち広まったバリ・ヒンドゥーを信仰する人が大多数を占めることを私は予習し、知っていた。(およそ人口の90%を占める)そのため、もちろんアミンもバリ・ヒンドゥー教徒だと思っていた。

アミンは2002年に自爆テロで202名の犠牲者を出した場所に私を連れて行き、『この事件は私と同じくイスラム教を信仰する人たちによって行われました。でも、同じイスラム教徒といえども信仰する神が違うし、あちらは過激派。だから全然派閥が違うんだ。』と話してくれた。
「でも同じイスラム教徒だといって自爆テロが起きてからヒンドゥー教徒の人たちにいじめられたりしなかったの?」と聞いてみた。
するとアミンは
『大丈夫。バリの人はそんなことしない。この地域の人はみんな仲間さ。』
と優しく笑って答えてくれた。
私はアミンの<みんな仲間>という言葉を聞いたとき、鳥肌が立ったのを覚えている。アミンが心の底からそう思っていて、もうこんな悲惨なことは絶対に起きませんようにという祈りを込めた言葉に聞こえたからだ。そして、今までで私は自分が生活している地区の中で<みんな仲間>だと思ったことはあっただろうか、そう自問自答し、その答えとして<なかった>という回答が出たからであり、この場で本当に自爆テロがあったんだということをやっと認識できたからでないだろうか。


次の日の朝、アミンはトヨタの真新しいワゴン車でホテルの裏まで迎えに来てくれた。
そして、日がとっくに沈むまで私たちのドライバー兼ガイドとして尽くしてくれた。
それで、一人たったの2250円。
代理店を通せばこの6、7倍はするはずだった。
アミンは車内でも私の素朴な疑問の山にも丁寧に言葉を選んで話してくれた。
私    「この車、すごい新しいよね?買ったの?」
アミン  「買いました。ローンでね。まだまだたくさん払わないといけないから今日はありがとう」
私    「いやいやこっちがありがとうだよ!あんなに安くしてくれて・・・」
アミン  「こっちじゃこれぐらいが普通だよ。旅行店がお金取りすぎなんだよ。」
私    「でも代理店の人はアミンみたいな人の話には絶対乗ったらダメだって言ってたよ!」
アミン  「そうでしょ?あいつらどっちの味方かわからないよね。ひどいよね。」
私    「どーいうこと?」
アミン  「代理店の人たちは同じバリ人で、中にはアミンのことをよく知ってる人もいます。安心だとわかってるのにイヤなことを言い続ける。確かに悪いことをしてる人だって中にはいるけど、本当に少ないよ。アミンの周りにはいないよ。同じバリ人同士、一番よくそれらを知ってて、お互いが幸せになりたいって思ってるはずなのに、なんで助けてくれない?なんであんなことを日本の人に言い聞かせるんだろう。ほんとにひどいよ。」

実はこの会話をしている最中も、私はアミンを心の底から信用はしていなかった。まだ半信半疑な状態で、いつ豹変するんだろうと正直怖がっていた。でもこの話を聞いたとき、素直に自分も心を開いてみようかなと思ったのは事実だ。だって、確かに代理店の推奨するオプションツアーはこちらの物価で考えず、日本人の「安心」「安全」思考を手玉に取ったぼったくり価格だった。それでいてアミンのいうように代理店の人々は口をそろえてアミンたちを悪者と決め付けたように説明してきた。でも、結局日本人は平和ボケし、観光リゾートとしてやってきては金を落とし、「楽しかったね」と帰ってゆく者が大半を占める。大半を占めるその日本人たちと私とではお金の価値観が違い、安心・安全、楽しさを感じるベクトルの長さと向きが少しずつ異なるだけの話なのかとも感じた。これは、これでいいんじゃないか。どっちが不幸かではない。どっちが幸せだ、楽しかったと感じるかではないか、そう思う。


アミンは次の日も朝から晩まで車を走らせ、私たちの邪魔にならないようにしっかりと気を使いながら本当に最後まで尽くしてくれた。
厳格なイスラム教徒なだけあって朝と昼と夕方に決まって祈りを捧げていたらしいが、我々が合間に腹ごしらえや観光に行ってる間に済ませていたらしく、その様子を我々には最後まで見せなかった。何ヶ月かに一度は決まって断食も行うと教えてくれた。ただ、若い頃にはドラッグや大量の酒を毎日飲んでいたらしいが、今は全くやっていないらしい。「それはなぜ?」と訊くと、アミンは『本当に厳格なイスラム教徒になりたい。』そう答えた。この言葉は日本に住む私にとってとても興味深かった。宗教・・・・・その深さ・厚さ・すごさといった山、その頂上なんてまるで見えない山々の麓に生える小さな野草に気付いた具合か。コトバは聞き取れたがその真髄なんてものは計り知れないといったような言葉の意味。日本にいると宗教信仰ときくと、ヤバイんじゃないの?怖いといったイメージが強い。でもアミンの口から聞こえた言葉は素朴でいて、まるで子供が無邪気に夢を話す時のようなイメージを持たせ、耳に入った。こんな経験は新鮮でいて、嬉しい。勉強になる。何年かかってもわからないような問題かもしれないが勉強したくなるような、言葉には言い表せない幸福感に浸る。


アミンと知り合い、話した経験は今でもふわふわしていて思い出になろうとしない。
ただ単なる旅中に出会った現地の人とのふれあいの一つかもしれない。
それなのに、すごい大きな課題を与えてくれた神様のような人と話した気さえする。
もっと私は日本人として日本人と日本を知りなさいと言われたような、
その延長線上に自分を置き、己を誇れるまで高めていきなさいと言われたような、
そうだ、そういった思いがする。
だから武者修行をするのか。
武士の時代の人や今この文を読んでいる人たちに言わせれば覚悟が足りず、馬鹿な言葉を発するなと言われるかもしれないが、この時代に生きる日本人として私は少しでも大きくなりたい。
そのために敢えて怖がらず、怒られ、諭され、教わり、生きていく。
感謝を忘れず、自分にベクトルを向け続け、精進あるのみか。


最後にバリに遊びに行こうと考えている人がいれば私は心おきなく相談に乗ります。
ここに書ききれていない本当に多くの色々な体験をしてきました。
もちろん、このブログを読んでアミンを紹介してほしいという方がいらっしゃいましたら連絡先をお教えします。アミンはあなたを喜んで迎え、私の時のように尽くしてくれるはずです。
楽しく、勉強になった旅でした。ありがとう、アミン

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