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学生マンションから引越しをする汚いヒゲ顔のおっさんを見かけた。
あの様子じゃきっと独身もしくは妻子に逃げられた身。
その確率は非常に高いと思われる。
人間にとって何が幸せでどんな生き方が全うだなんて言いきれない。
それにきっと確かな答えはないのではないかと最近すこぶる思うようになった。
あの親父にとって、たとえ今の生活に満足できておらず、社会的地位が低く見られ、渋々この学生マンションさえも後にしなければならなかったとしても、今日の日がとても暖かくて「もうすぐ春だな」と感じ、それに幸せを感じられるような少しのゆとりがあれば、私はその親父をかっこいいと思うだろう。
そんなことをぼーっと考えながらバイクに乗るための支度をゆっくりとする。
おっさんがまた自動ロックの扉から出てきて、ゴミ捨て場に向かう。
手には20冊ほどのマンガを束で持っている。
おっさんが丁寧にそのマンガをゴミ捨て場の端に置く。
「なんだろう?」私はあのマンガがなんなのか知りたくて知りたくてああもうどうしようもなくなっていた。
ヘルメットをかぶったまま見に行く。
辺りに誰も見ていないことを確認して、そっとその束を覗き込む。
私は目を疑った。あの汚い親父が、なぜこれを読んでいたのか。
スラムダンクであった。
特定のマンガという一つの媒体を通して生まれた親近感。
私は人間であり、そういった親近感を抱くとその人をもう受け入れてしまう。
それが人間の特徴であり、単純というか、阿呆なところである。
私は今日、そういった数々の思いを持つことにより、人間だということを改めて知る。
そして人生はおもしろいなと思った。
きっと今日の出来事なんて来年にはもう覚えていない。
ただ、こういった小さな衝動・感激を大切にして生きてゆきたい。
積み重ねてゆきたい。
それを体感して幸せだと思える感覚を決して鈍らせることなく、おっさんになろう。
たとえ見た目は小さなおっさんだとしても。


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